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2006年9月17日のコラム
(飲酒運転における逃げ得を無くしたい)

飲酒運転違反の逃げ得対策。早急に、しっかりと。
 福岡市東区で起きた飲酒運転での死亡事故。直前の行動から飲酒量は相当で 危険運転致死傷罪は間違いないと言われているのに、事故当時の血中アルコール量が 確定できないので、立証に苦労している状況。
 そう言う中で、逃げ得に対する対策が熱く議論されている。 深酒をしていて、交通事故や違反をした時、一旦逃げて、後日 酔いが覚めてから自首すれば、深酒の証拠が無くなり、 危険運転致死傷罪が適用されなくなるという。
 深酒で人身事故を起こし危険運転致死傷罪を適用されると 最高刑は懲役20年。ところが、一旦逃げると、業務上過失致死傷とひき逃げの 合併罪でも懲役7年半とのこと。これでは、誰でも逃げてしまう。

 現在議論されているのは、ひき逃げの厳罰化による抑止力。 ひき逃げの罰を付ければ懲役20年以上となるなら、これも解であろう。
 しかし、果たしてそういう対策で解決するだろうか。 例えば、酒を飲んでひき逃げをした人と飲まずにひき逃げした人の公平性は。 いや、公平ではなく、飲酒に対する処罰はどうなるか。 結局、逃げ得の損得を複雑化させているだけではないか。
 単純にひき逃げの罪を重くするだけでは半分しか解決しない。

 実は、皆も知っている、もっといい秘策がある。生活の知恵ですよ。 例えば、乗り合いバス。乗るときに乗車バス停を示すチケットを取り、 降りるときに料金を支払うバスは、各地にもあると思います。 その仕組みはどうなっているか。故意にそのチケットを無くして、 途中から乗ったと申告すれば、始発からの料金が要求される。 故意云々とは書いていないが、車内の約款からそう読み取れます。

 飲酒運転も仕組みは同じです。交通事故を起こして逃げたら、 逃げる原因となるあらゆる可能性のある行為を行ったものとして 全ての責任を負うものとすればよい。
 つまり、今回の福岡市東区の事故を例えるなら、 事故直後に飲酒を申告して測定していなくて、飲酒の事実があれば、 その時点で深酒と同じ状態であったと同じ刑罰を受けるというものである。 その他に、ひき逃げの罪を加えれば、然るべきであろう。
 深酒をしている人は、逃げても深酒の罪は負い、逃亡の罪が加算される。 深酒をしていない人は、正しく申告することにより、深酒の 罪を負わされることはなくなる。 画して、逃げ得はなくなるわけである。

 加害者から見ると自業自得。被害者から見ても加害者が追うべき 罰を全て追うわけで、刑法罰の観点からは解決するだろう。
 勿論、それ以上に辛い思いが癒える訳ではないと思うが。

 当局は、もっと柔軟な考え方で、公平な制度を整備することを切望する。

 さらに、今回の福岡市東区の事故についての危惧を述べます。
司法は無情である。本ホームページの8月22日のコラムでも書きました。 司法は、法の解釈で罰することができない場合は、その部分について 無罪を言い渡します。今回、検察が頑張って危険運転致死傷罪で起訴することとしましたが、 決して予断は許されない。
結局、危険運転致死傷罪は適用されないことも充分に考えられます。 それでは、単なる検察のパフォーマンスで終わってしまいます。
 この事故への適用は無理ですが、上記の整備は、急を要することがわかります。

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