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2006年9月23日のコラム
(それでも 日の丸 君が代 は合憲だ)

東京地裁で争われた「日の丸と君が代の強要に対する合法性の問題」は、 日の丸、君が代の掲揚、斉唱に反対する教職員とそれに対する東京都の争いである。 今回の東京地裁の判決は、法律の番人たる裁判所にあるまじき 判断となっている。何故かを列挙したい。

 まず、問題の本質は、今回争われた教育委員会の 通達のみにあるのではない。日の丸、君が代の 掲揚、斉唱に反対の意見、反対する行動があっての、 通達であり、その原因となった反対に関する行動を 評価しなければ、その通達の合法性を議論することが出来ない。 判決理由からは、その検討結果が読み取れない
 一言でいうと、今回の教育委員会の通達は、合法である。 それは、後述の<法律面から見た問題の本質>を見て欲しい。 今回の判決が通れば、飲酒運転で人を轢き殺したり自分が生んだ子供をせっかん死させる大人が増えるのだ。 そういうことを野放しとしない行動を合法とせずに、 何が司法機関だ。どこかの窓口の受付と同じではないか。

 そうはいっても、日の丸、君が代の掲揚、斉唱に反対する人たちの 意見に反対ではない。問題は、やり方であり、考え方だけでは駄目なのだ。 その問題についても、後述の<反対派の意見を整理してみると>を 記載しました。やり方さえ間違わなければ、立派な意見として 主張を支持したい。(私は、賛成派ですが)

 今回の問題も、8月22日のコラムで記載した内容と 同じ問題です。裁判所が、問題の捕らえどころを充分に検討せず、 法律を狭い視野で解釈して出した結論だと思います。 単なる判例として捉えずに、改善の検討をして欲しいと思います。

以下、詳細を記載します。

<法律面から見た問題の本質>
 一部の国民に日の丸、君が代を戦時中の象徴と捉え 掲揚、斉唱を拒否する人がいる。ここでは、便宜上 「反対派」と呼びましょう。
 今回の訴訟は、反対派の中で、東京都の教職員が 掲揚、斉唱の時の態度が不適切だから、通達により、 正しめようとした事に発する。

 問題点は、次の様に整理されよう。

1.学校での掲揚、斉唱が合法か。
2.反対派教職員の取った掲揚、斉唱の時の態度が合法か。
3.反対派教職員に対する掲揚、斉唱の強要が合法か。

 まず、はじめに、日の丸、君が代が日本国の 国旗、国歌であり、それに対する義務を負っていることを明確にしたい。 その論法は、後述の<国旗・国歌に対する国民の義務>を参照下さい。

 第一、「学校での掲揚、斉唱が合法か」 これは、国民の義務を考えたときに正しく推奨されるべきで 当然、合法と言わざるを得ない。後述の通り、 法律改正の有無については別である。今の法律で 定める限りは、合法と言わざるを得ない。

 第二、「反対派教職員の取った掲揚、斉唱の時の態度が合法か」
 これは、法律以前の問題である。
学校で、自分達の子供が学校の教育方針に従って行動しているとき、 模範となるべき教職員が学校の方針に反発する行動を取っている。 これを見た生徒がどういう大人に育つか。
 そういったことを意識せずに(されずに)育った人たちが、 飲酒運転で人を轢き殺したり自分が生んだ子供をせっかん死させる、 そういう意見に反対できる人がいるだろうか。
 法律的には、学校教育法をはじめ、多くの法律、制度があるが、 ここでは省略しよう。

 第三、「反対派教職員に対する掲揚、斉唱の強要が合法か」
 この問題は、難しい。問題点を多く内在しているからである。 例えば、反対派の教職員が、国旗、国歌を定めた法律に反対し、 法律改正の活動をしていて、それを禁止する通達を出したなら 違法であることは間違いない。
 しかし、今回の様に、教職員の行動が学校の目的たる 子供の育成に障害となっており、その排除を目的としているなら 合法であることは、明確である。

 従って、ここで言えるのは、反対派の考え方は、合法であるが、 今回問題とされた反対派の行動が問題であり、それを 正そうとした今回の訴訟原因は、合法であると言える。


<反対派の意見を整理してみると>
 日の丸、君が代が、掲揚、斉唱に値するかどうかは、 国民の権利として議論できる。
 そうして、戦時中の忌まわしさを体験した人なら、 掲揚、斉唱に反対することも権利だと思います。 だから、反対派の考えそのものに、反論するつもりは無い。
 では、どういうことができるのであろうか。 現在は、日本国憲法の下で、法律により、国旗、国歌と 定められているから、日の丸、君が代の掲揚、斉唱を 求められているわけである。
従って、法律の改正運動をして、国民一律な義務から外して 貰う事が唯一許された行為である。
 勿論、法律改正の為に、デモ行進やストライキを 法律で許された範囲で行うことは、問題ないでしょう。
 しかし、子供の教育に悪影響を及ぼしたり、 法律を犯しての行動は、絶対にして欲しくない。


<国旗・国歌に対する国民の義務>
 憲法の前文の結論を書き直してみると次の様に読み取れる。
「日本国民は、国家の名誉にかけ、この憲法で掲げる理想と 目的を達成することを誓う」
である。
このことは、国民は、憲法に違反しない範囲で、国家の名誉を 意識しなければならないと要求しているのである。
 一方、日の丸、君が代は、どういう位置づけかというと 「国旗及び国歌に関する法律」という法律で、国旗と国歌と決めている。
 以上のことより、国民が国家の名誉を意識するため、国が定めた 国歌と国旗を尊重することは、国民の義務であると理解できる。
 もう一言加えると、ここに書いた義務は、日本の現在の 憲法と法律が国民に課せた義務である。
即ち、合意できないとしても、憲法や法律を変えないと 反対できないということです。


 本論から外れますが、現在の日本国民は、日本国の名誉を 軽んじていると感じます。
日本国憲法では、他国を自国と同等に尊重せよと定めていますが、 他国を尊重するためには、自国に名誉を持つことが重要です。 「他人を正すには、自分から正せ」と同じ意味です。 ここで、一冊の本を紹介したい。
内容の全てには賛成していませんが、 最近の国民が、国家の品格を下げる行動をしていると 国民への心配が読み取れます。

「国家の品格」 藤原正彦著(新潮社)

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